文・写真:堀井和子
青山の桃林堂で開かれていた「夏のてしごと展」で、長さが18cmのトングを買いました。片手で握るのに、ちょうどよいサイズ、バネの力の具合です。
湯浅
確かに我家で30年以上使っている北欧のステンレスのトレーなどは細かい傷がついて、ものすごく優しい表情になっていますが、新しいステンレスのキッチン道具は暗めの銀色、ピカピカの光り具合がハードな印象です。
ステンレスを加工して、こんな表情の道具を作るなんて、面白いことを考えるなぁと思いました。
ただ、初めからぐっと間合を縮めてくる馴染んだ表情に、ほんの少しだけ戸惑いも・・・。
パッケージの紙箱のデザインがかわいい缶詰を見つけました。
高知県の黒瀬町缶詰製造所の四万十ポークのネギ塩タレ、塩胡椒焼き、四万十ポークとゴボウの甘辛煮です。
早速味わってみましたが、ゴボウとの甘辛煮はそのまま御飯にのせて食べたい、懐かしくて力強い常備菜タイプ。塩胡椒焼きは、どちらかというとポークのリエットみたいな、オードヴル向きの一品タイプ。四万十ポークが味わい深いのでシンプルに、冷やした白ワインとバゲット、オリーブの実を添えて楽しみたいです。料理に使って熱々にしてもおいしそうですが・・・。
1丁目ほりい事務所を設立して初期の頃に作ったガラス製品のシリーズ。
"Après des vacances" や "iii+ka" の文字を入れた長方形や、L字ボード、ドーナッツ形、クロス形。
ブリーチーズやいちじくは、切り分けてからサーヴするのがおすすめです。
切り分ける時はそっと。すごく実用的ではないかもしれませんが、テーブルの上がワクワクしてくるアイテムを目ざしました。
その時にしか作れない手仕事のものってあるんですね。このシリーズを手がけてくださった職人さんのいる工場は廃業したと伺いました。
今、こうして見つめると、贅沢でおっとりしたガラス製品が微笑んでいるように感じます。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」