写真・文:久家靖秀 編集:落合真林子(OIL MAGAZINE / CLASKA)
Profile
sunui 素縫い
2004年 武蔵野美術大学出身の同級生で結成。旅先で見つけたものを素材に、その時々の自分たちの感性をつなぎ合わせ作品に落とし込む。アクセサリー制作、グラフィックデザイン、WEB デザイン、ディスプレイなど幅広く活動。ハナレグミ、クラムボン、おおはた雄一などのアートワークやグッズ、ステージなどのデザインも手掛ける。2010年に「ほぼ日作品大賞」受賞、2016年に作品集『カンカンバッチ』を出版。「Afternoon tea」2022年春のアイテムデザインを、「toranekobonbon」とのコラボレーションで担当している。
http://sunui.jp
Instagram:@sunui_nu
すこやかに巣作り
ここは家でも工房でもない、精神的にちょうど良くて、ずっと居られる場所。
毎朝アジトにやってきて染めたり塗ったり、色々なことをして過ごします。
「巣作り」という言葉が近いかな。
私たち、“忙しそうだけど、ちゃんとごはん食べたのかな?”みたいな事を毎日お互いに気にしあう仲なんですけど、仕事仲間とも家族とも違う関係性で。
みんな細かいところはあるけれど、こだわりすぎない。
長くてしんどい日々の旅も、お互いの感性の混ざり具合を面白がる事で健やかに進めるんです。
姿勢は常に流動的で、通りすがりに「いいねそれ!」みたいな声掛けをお互いにしあって、仕事のフィードバックをしています。
自分の家は他の人に勝手にあれこれされると嫌なんだけど、ここでは勝手に改変されても良いし、むしろ楽しめるのは何故だろう。
sunuiの仕事は毎回振り幅が大きくて行き先が変わり続ける作業だから、
誰かが何かをして、アトリエ内が日々変わっていくのを観察するのが楽しい。
道筋はあるけれど出来上がりは見えないから、この場所の最適化にこだわりすぎないというか……「ベストじゃないけど、グッドだねー」と声を掛けあえる場所。
この共存は、奇跡ですね。
仕事が佳境を迎えると、誰かの仕事がいろんな場所から溢れ出してくる。
枠組みはあるけれど互いの活動とイメージが緩やかに混ざり合う、そんな場所です。
2022年 東京都渋谷区
久家靖秀 Yasuhide Kuge
写真家。主な作品に、写真集『アトリエ』(FOIL)、『Mnemosyne』(HeHe)、『ニッポンの老舗デザイン』(マガジンハウス)、『デザインの原形』(日本デザインコミッティー)など。美術、工芸、デザイン、舞台芸術まで創造の現場を撮影し続けている。
https://kugeyasuhide.com/