文・写真:堀井和子
松林誠さんが岡山の吉田牧場の仕事をしたそうで、放牧したブラウンスイス牛のミルクから作るチーズを、いろいろ送ってくださいました。
チーズを詰め合わせた箱の上面は格子、側面は草花が描かれています。
以前、知人宅に届いた吉田牧場のチーズに、野の花やハーブのブーケが添えられていたことを思い出しました。
この箱の黄緑は吉田牧場の初夏の様子を伝えてくれる気がしました。
箱を開けて一番上にフワッとのせてあったのが、この半透明の紙(トレーシングペーパーみたいな質感です)。羊や花や吉田牧場の文字が白で印刷されていて、生き生きしたタッチがカッコいい。この28cm×28cmの一枚の紙に、すごく
チーズひとつひとつに貼ってあるシールの絵と文字、ブルーの色にも心が動きます。爽やかでおいしそうで面白いデザインです。
賞味期限をずらしたセレクトだったので、まずはリコッタとモッツァレラ、カマンベールをいただきました。フレッシュでやわらかな風味が特別に感じられ、ワインが進みました。
左上のラクレットは説明書にあったように、ゆでたじゃがいもの上にのせて溶かして食べようと思います。
右上のカチョカヴァッロは賞味期限がまだ先なので、ゆっくりと。
普段、我が家で朝食の時食べるのは、エメンタールとグリュイエール、ミモレットの3種類。
少しずつスライサーで薄くスライスしたり、切り分けたりしてプレートへ。ミルクティーと家のパンによく合う、比較的穏やかなセミハードチーズかと思います。
2人なので、賞味期限が短かいチーズは食べ切れなかったりして、味わう機会が少なかったので、こんなふうに、フレッシュな風味をひとつひとつ確かめられて、嬉しかったです。
5月初め、散歩の途中で見つけたビルディング脇の花壇のニワゼキショウ。
白っぽいモダンなコンクリートの壁面に沿って細長い土の部分があり、奥に艶やかな緑の葉を付けた木が植わっています。手前に直径1.5cmほどのピンクの花がワーッと咲いていて、びっくりしたのです。
実家の庭や旅先の野原でよく見かけた花ですが、このスペースにピンクのニワゼキショウだけが植えられているのが新鮮でした。
花のちょっと濃いめの紫がかったピンクと茎や葉の緑、初夏にぴったりのデザインに思えました。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」