文・写真:堀井和子
外苑前に引っ越した GALLERY CLASKA で企画展をします。
”iii+ka のobjet ものをいれないカゴ・空を飛ばない凧”
2022年11月19日(土)~12月4日(日)
凧の構造に興味を持って、長谷泉さんに、試しに凧を作ってもらえないかと相談しました。
泉さんは郷土玩具の本、我家にあった凧を参考にして、竹ヒゴを扱う専門店を訪ねて材料を選び、竹ヒゴの曲げかたも試行錯誤を重ねて、 SAMPLE の凧を仕上げてくれました。
凧に貼ってもらったのは、和紙専門店で選んできた、温かみのあるベージュ色で、何ともいえない上品なハリと艶のある、出雲民芸三椏紙。
竹ヒゴと糸、和紙のシンプルな構造の凧は、素材も、曲線とやわらかい直線の組み合わせも、たいそう魅力的に感じられます。
特に竹ヒゴが見える裏側のデザインが素敵だなぁと。
以前、活版印刷の和紙ランチョンマットを製作した時、和紙専門店で様々な種類の和紙を一生懸命選んだことがあり、その和紙が少し手元に残っていました。
生成り色、ベージュなどの色合いや薄さ、風合いもいろいろな和紙に墨でアルファベットを描き、切り抜いて凧にコラージュすることに。
和紙に描いた文字は、不思議なインパクトがあって面白い様子でしたので、大きいポスターにも使うことにしました。
今回は印刷はなしにして、カゴのラフスケッチと GALLERY、期間は手描きです。(全部で 6 枚作りました)
アクリルのフレームが入っていた黒い段ボール紙のケースを解体して、その上にコラージュした作品は、 A4 くらいのサイズと A5 くらいのサイズを数点ずつ。
マットな黒の段ボールの質感や、ケースならではの隙間に魅かれて貼り始めたのですが、白い紙に貼る場合と合う色がぐっと違って、初めは戸惑いました。
でも貼っているうちに、新しい組み合わせかたを探るのが楽しくなり、取って置いたフレームのケースが少なく思えたくらいです。
墨で描いたアルファベットが面白い様子だったので、透明のクリアバッグにもプリントしてみました。
竹ヒゴのカゴを入れたところです。
ふと冬のセーターやマフラーも入れてみたくなりました。
我家では、以前、野上美喜さんに織っていただいた SAMPLE の小さいクロスを1枚使っています。
麻の手織りのクロスは、上品なハリがありながらやわらかくて、器の拭き心地が特別なので、朝食の後に使い、昼、夜は別のクロスに替えたりして。
今回、新たに、縁にラインが入った大きいリネンクロスを野上さんに織っていただきました。
使い込んで素敵なことは間違いありませんが、ずっと大事に付き合ってもらえるクロスになったらと思っています。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」