文・写真:堀井和子
左は “BABAR ET LE PÈRE NOËL” 。
JEAN DE BRUNHOFF が1936年に描いた絵本で、1984年の版です。
右は “LA FÊTE DE CÉLESTEVILLE”。
JEAN の息子の LAURENT DE BRUNHOFF の作。
縦19 cm 横15 cm 厚さ4 mm の小冊子ですが、ページを繰るたびに絵の色使いの美しさに
PÈRE NOËLの本では、 BABAR の旅仕度、格子のコートとマフラーに DIC-F 220 ピスタッシュの黄緑色の帽子がものすごく素敵ですし、ホテルの内装や BABAR の水色のストライプ柄パジャマもお洒落です。
見開き屋根裏部屋の様子も、見入っているとドキドキしてきます。
BABAR の絵本は、文に手描きのような字体が使われていることも、私が魅かれている理由かもしれません。
LA FÊTE の本の色使いは、ちょっとクールでカッコいい印象です。
RHINOCEROS のコートのブルーグレー、帽子の濃いブルー、クレーンの水色が印象的な見開きや、お祭りの12のテーブルを描いた見開きも、並んだパラソルの黄色が軽やかで楽し気で、気分が持ち上がります。
”DE MÉMOIRE de BABAR” は1997年の版。
JEAN と LAURENT の仕事を紹介する展覧会で買った一冊です。
旅行に行く BABAR たちが乗っている緑色の自動車がずっと忘れられなくて、いつか実物を見てみたいなぁ・・・などとかなわない夢を抱えています。
ペーパーウェイトに使ったのは、今回の展で販売した星耕硝子さんのガラスの objet “carré”。
ガラスの色と形に、何とも言えない雰囲気があって気に入っています。
10月末の細い三日月。夕暮れから夜へ向かう頃のグレイッシュな空の色と月の光りかたが、特別に感じられました。
以前に黒豆入り山型パンのことを書きましたが、黒豆が入ったパンの香ばしさ、甘過ぎないふんわりした風味が大好きで、思い立つと黒豆を煮て作ります。
黒豆は12~13時間水に漬けて、翌日4時間コトコト煮るので、やはりまとめて300~400 g 煮ることが多いでしょうか。
今回は大きな丸いパン (我家では田舎パンと呼んでいますが、ライ麦粉は配合しないで焼くようになりました) に混ぜて焼きました。
黒豆の煮汁は、しっかりペーパータオルでぬぐって粉をまぶして混ぜるのですが、それでも、いつもの田舎パンより、こんがり濃いめの焼き色に仕上がって、
黒豆も甘過ぎず、おっとりした甘みなので、甘納豆みたいな幾分乾いた小豆入りのパンと違った、懐しい味わいです。
贅沢にエシレの無塩バターを塗って、マカイバリ茶園の秋摘みオータムナルの紅茶といただくと、とびきりの朝食の時間に。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」