文・写真:堀井和子
長さ5cm 高さ3cm のプラスチック製のミニチュアカーは、車体にスリットが入っていて、ここにネームカードやショップカードを挟んで使うアイテムです。
素っ気ないくらいシンプルだけれど、車体の白と車輪の黒のデザインが清々しい。車輪を繋ぐ棒は綺麗なシルバーで、車を動かすと澄んだ高めの音がします。
我家では小さいカードではなく、ポストカードを挟んで本棚の上に置いたりしていますが、2.3枚並べたくなって、この車をあと2台くらい買っておけばよかったと思うことも。
音が鳴るプラスチック製の“呼び込み君ミニ”を自動販売機で買ってしまいました。
散歩中、その前をよく通るフィギュア専門店のショーウィンドーには、その時々でカネゴンやミッキーマウス、フィリックス・ザ・キャット、ファービーなどが、何体も大事そうに並べてあります。
懐かしかったり、じっと見るとディテールが実に美しかったりで、魅力は感じていましたが、大きめで目立つアイテムのことが多く、見るだけにしていたのです。
この“呼び込み君ミニ”は身長5.3cm、白・青・赤の3色があり、白より青と赤のイベント限定バージョンの方が、目がきりっと爽やかに見えます。
音は今ひとつな気がしますが、ボディに細かい穴が円形に開けられて、小さい白のスイッチボタンが付いた様子がロボットみたいで、左右に出した短かい手がユーモラス。
自動販売機で買えるというのは、気をつけないと。じっと見ているうちに自分の好きなタイプを選んでしまう私は、いつのまにか、フィギュアのコレクターになりそうで心配です。
“呼び込み君ミニ”の横に置いたのは、ドイツの goki 社の玩具、バランスを取りながら積み重ねる“ladders”。昔、パリの玩具店で見つけました。
ハシゴを組み立てていくと、5色の様々な構成が展開します。ハシゴだけ見ていた時より、立体的に構成されていくデザインにワクワクするのです。
2012年出版の“Quatre Saison”(EPINAY-SUR-SEINE)はBetty Bone 作。
縦25cm 横17cm のケースは、観音開き、さらに観音開きと横に広がるサック状になっていて、4枚の、折りたたんだ大きなポスターが収められています。
春夏秋冬の樹や草花、鳥、昆虫、魚などが、鮮やかな色使いで描かれていますが、ケースの下に広げたのは夏のポスターです。
SAUL BASS の“HENRI’S WALK TO PARIS”の絵本(
「いいもの、みつけました!」連載22回
)に似たグラフィカルなタッチと色使いに魅かれました。
それにしても、大版のポスター4枚を、折りたたんでケースに収めた絵本のスタイルは斬新ですね。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」