友人で写真家のトヤマタクロウくんが猫と暮らしはじめたと聞き、早速会いに行きました。白と黒のハチワレのタンは4カ月の女の子。まずは、犬派のトヤマくんが猫と暮らすようになったきっかけから聞いてみました。
写真・文:加藤孝司 編集:落合真林子(OIL MAGAZINE / CLASKA)
猫:タン(4ヵ月/メス)。好きなおもちゃはパーカーの紐。
男:トヤマタクロウ(写真家)
Instagram:@takurohtoyama/@tantoyama
今朝、ストーブで髭が焼けちゃったんですって?
- はい。普段はあまりそばまで近づくことはなかったのですが、今朝は少し寒かったのか熱で髭がカールしてしまいました。
ウチのジャスパーも2歳の誕生日ケーキのロウソクの炎で少し髭が燃えてしまったことがありました。トヤマくんは確か犬派でしたよね? どうして猫を飼うことになったのですか?
- 僕が子どもの頃から実家で犬を飼っていて、僕も飼うなら犬がいいかなと思っていました。ですが奥さんが、友達が猫を飼っていたこともあって「猫を飼いたい」と言っていて。僕も動物が好きだったので猫を飼うのもいいかなと思って保護猫サイト等を見ていたら、ものすごく猫を飼いたくなってしまったんです。
タンとは保護猫サイトで出会ったのですか?
- 里親募集している方のインスタグラムで出会いました。鼻のまわりの模様が髭みたいで可愛かったのと、インスタだから動画も見られてどんな子なのか想像できたのも良かったですね。
最初に会ったときの印象は?
- とにかく小さかったですね。家に迎えた時、サイドボードの下にずっと隠れてしまって。猫を飼うのははじめてだったので、大丈夫かなと少し不安になりました。
家に来た時は何ヶ月だったのですか?
- 3ヶ月です。最初はお母さんや兄弟のことを探していたのか、すごく鳴いていました。しばらくしたらお母さんがいないことがわかったのか、僕らにすごく甘えるようになりました。
いきなり家族から引き離されたわけですからね。
- 可愛そうですよね。
名前はどうやってつけたのですか?
- 長い名前にしても呼ぶ時には省略してしまうと思ったので、最初から2文字に決めていました。
名前の由来は?
- いくか候補があったのですが、最終的には奥さんが決めました。ビジュアル・アーティストでフィオナ・タンという方がいて、「タン」はどう? ということで決まりました。
さすがのネーミングですね。
- そうですか? 僕は特にこだわりはなくて、「タマ」とか「チビ」がいいかなと思っていたのですが、タンも呼びやすくて響きも明るい感じがするのでいいなかと。最初はアーティストが飼っていた猫の名前を調べたりもしていました。調べていて面白かったのはアンディ・ウォーホールはが飼っていた20匹以上の猫すべてに「サム」という同じ名前をつけていたことです。めちゃくちゃウォーホールらしいなあと思いました。
トヤマくんは写真家ですが、写真家にとって猫ってどういう存在ですか。
- 特に改まって考えたことはないけど、荒木経惟さんや深瀬昌久さんなど結構関わりが深い作家も多いですよね。でも個人的には、猫は写真にするのは難しいと思っているところがあります。少し話が変わりますが、荒木さんの作品に奥さんが亡くなるまでを写真で追った『センチメンタルな旅、冬の旅』があるじゃないですか? 荒木さんの愛猫チロちゃんもそうですが、奥さんや猫のような「家族」という存在を作品にできちゃうのは、どこか残酷な感じがしていて。自分が家族に対してそうできるかといえば、なかなか難しいのかなと。
他者というか、どこか外部化しないとあそこまでは撮れないですよね。でもそれが写真というものを表しているようですごく本質的な気もするし。
- もちろん人それぞれだとは思いますけど。それができる人はすごいですよね。もちろん好きだからたくさん撮りはしますけどね。
家に迎えて何ヶ月でしたっけ?
- ちょうど今日が生後4カ月なので、ひと月たちました。
どうですか?
- いや~、いいですね(笑)。奥さんと二人して、構いすぎてんのかなと思うくらい世話を焼いてしまいます。
過保護に?
- 自主性を尊重はしているので過保護ではないと思いますが、寄ってきたら可愛くてかまっちゃいますね。それで向こうの気が済んだら僕たちも自分たちの時間、みたいな感じです。
タンの性格は?
- 少し臆病で甘えん坊ですね。まだ一ヶ月だからか、馴れたら大丈夫だと思いますけど好奇心はあるんだけど色々なものにビビりますね。それで、油断していたら今朝ストーブで髭が焼けちゃったのですが。ストーブの周りに柵を置いた方がいいのかな。学習してくれたらいいんだけど。
去勢もそろそろですか?
- 年明けにしようかと。調べたら女の子は大変みたいで、入院しなくても大丈夫なところもあるみたいですけど……。去勢後、性格って変わるんですか?
ウチはそんなには変わらなかったかな。でも、よく甘えん坊になるといいますよね。
- これ以上甘えん坊になったらどうしよう(笑)。一日留守にして帰ってくると、鳴きながらついてきたり、犬みたいだなあと思いました。最初、猫ってクールな印象があって、それもあって飼うなら犬がいいと思っていたのですが、タンは犬みたいに分かりやすいというか、意思疎通も出来ている感じもあってすごく嬉しかったです。
では、トヤマくんにとってものすごく大切な存在になったんですね。
- 朝も自分のトイレに行くより前にタンのところに行ってご飯をあげたり、トイレの掃除をするくらいです。
犬との違いは感じますか?
- あまり感じないのですが、猫は犬に比べると自分の時間がある気がしますね。それと急に興奮して走り出したり、急にすごく野性的になる瞬間があるのは犬とはちょっと違うところですね。
行動が把握しきれないところは人間的でもありますよね。
- 夜は一人で走り回っていますね。病気や怪我をせずに幸せに長生きしてもらえたらいいなと思っています。
タンの日常をアップする専用のインスタグラムアカウントもつくったんですよね。
- はい。猫を飼うと言ったら、色々な人に猫の写真を楽しみにしていると言われて。でも自分のアカウントでやると絶対猫の写真ばかりになってしまうと思ったので、新しいアカウントをつくりました(@tantoyama)。
インスタグラムも楽しみにしています(笑)。また一年後くらいに大人の猫になったタンの取材にきますね。
- はい。見守っていてください(笑)。