インテリアショップに勤務する滝沢さんと暮らす、元野良猫の「あお」。
たくさんの愛情に包まれた、穏やかな二人の暮らしについてお話を伺いました。
写真・文:加藤孝司 編集:落合真林子(OIL MAGAZINE / CLASKA)
猫:あお(3歳)。好きなおやつは焼かつお。
男:滝沢時雄。インテリアショップ勤務。趣味は週末の登山。
Instagram:@yamatoneco_
滝沢さんがあおちゃんと出会う前に、何度か猫の話をしましたよね。
- そうでしたね。同じマンションに猫を飼っている友人がいるのですが、彼女が家に帰る途中に出会った野良猫が、あおだったんです。帰ろうと思ったらついてきちゃって、可哀そうになって家に連れ帰ったそうなんですね。でも先住猫がいるし飼えないということで、僕のところに相談にきたのがきっかけです。
そうでしたか。不思議な縁ですね。
- 僕は猫を飼ったことがなかったので、アレルギー検査をして大丈夫なことを確認して、迎えることになりました。
保護猫ではなくて、野良猫だったんですね。まだ小さかったのですか?
- はい。まだ3ヶ月くらいでした。公園の茂みから猫の鳴き声がして、のぞいてみたらチリトリの中にあおがいて、にゃあにゃあ泣いていたそうです。
迎えることに迷いはなかったんですか?
- 加藤さんにお話していたこともそうですが、ちょうど猫を飼おうと思っていた時でしたので、これが縁なんだなあという感じでした。
名前の意味は?
- ハワイの言葉で「光」とか「夜明け」という意味があります。
最初Instagramで見た時にはすごく小さかったのに、みるみる大きくなりましたね。ご飯はもりもり食べるんですか?
- ものすごく食べるんですよ。知り合いの梁原正寛さん(「RINN」CEO)がつくる自動給餌器で定期的にご飯をあげているんですが、冬場は特に食欲が増すからか、自動給餌器に体当たりしておこぼれを狙っています。
え~!
- 冬場などは仕事から帰ってくると自動給餌器が倒れている時があって、今ではあおが体当たりをしても倒れないように側面をガードしています。
好物はなんですか?
- 2年前にアレルギーになって首の下の毛が抜けて膿んでしまい、なかなか治らない時期がありました。それで何が原因かと思って様子をみていたら、どうやらチキンが体質に合わなかったようで。それからチキンはやめて、魚系のものと、「ロイヤルカナン」のダックアンドライスをあげています。誕生日や記念日などにご褒美でおやつをあげるくらいで、基本的にはカリカリ以外は食べません。
ご飯は自動給餌器で量も時間も管理しているんですね。
- はい。朝の6時、12時、夜の6時にセットしています。
それは仕事で不在にしていることが多いからですか?
- そうですね。前に加藤さんが「ジャスパーはある程度まとめてあげても自分でセーブしながら食べる」とおっしゃっていましたが、あおはあげたらあげた分だけ食べちゃうんです。今、6kgと太り気味なので、最近は一日80gと決めて、少しご飯をセーブしています。
ジャスパーも太っているかなと思ってお医者さんに聞いたら、まだ大丈夫といわれて、それからは欲しがった時にあげるようにしています。そうしたらいつでも貰えることがわかったからか、がっつかなくなったんですよ。でもご飯の食べ方は個性があるし健康面やメンタル面にも関係するから、その子にあった方法を飼い主が見つけてあげたいですよね。いつくらいから大きくなりましたか?
- 小さな仔猫だったのが、本当にあっという間に大きくなりました。僕が寝ていると首の上を歩くのですが、それが重いんですよ。それで……肩をちょんちょんとされて、僕の腕枕で寝るんです。
滝沢さんが寝ている布団に入ってくるんですか?
- はい。すごく甘えん坊ですね。帰った時も定位置でごろごろして、落ち着くまでマッサージをせがむんです。そのあと食べたばかりなのにご飯の催促がはじまって、カリカリを3粒くらいあげます。
それで満足するんですか?
- 一旦は満足します(笑)。朝も起こしに来るから幸せですよね。
幸せとは、どちらがですか?
- 僕です(笑)。あおはご満悦気味にゴロゴロ喉を鳴らしているけれど、本当にゴロゴロいいたいのは僕の方だよ、と思っています。
いい話ですね。話は変わりますが、家具やインテリア関係のお仕事をされている滝沢さんに、猫とインテリアの話について伺いたいと思います。猫と暮らすと多少インテリアに制約がでてきませんか? というのも、棚のものを落としたり、のぼったら危ない、飲み込んだりしたら危険だからと部屋に置くものへの配慮が必要になることが多い気がして。
- 昔はプロダクト目線でこだわりや興味が強かったのですが、今は「暮らし方」の方に興味が移りました。飼い猫の場合、猫は一日中家で過ごして、そこで一生を終えるわけじゃないですか。だから猫が暮らしやすいように工夫してあげるのが最優先かなと思っています。だから前ほど飾らずに、あお目線でインテリアを考えるようになりました。
なるほど。
- とはいえいま現在巷にある猫関連のものって、自分自身が満足できるものは全然ないので、その辺のジレンマはありますね。その点、「KARIMOKU CAT」のプロダクトは自分自身満足できますし、このキャットツリーはあおのアレルギーが一番ひどくてものすごく痩せちゃった時に、気晴らしになればと思って買いました。最初は全然遊んでくれなかったのですが、最近ようやくツリーにのぼってくれるようになりました。
猫が喜んでくれればと思って、いろんなものを買っちゃいますよね。でも猫の毎日と自分の毎日の両方が豊かになるものがあるといいですよね。うちにも、よかれと思って買ったふかふかの猫用ベッドがあるのですが、一度も入らずに押入れ行きです。普段は、ぼろぼろの紙袋の上で寛いでいます。
- 猫あるあるですよね。人間のエゴというか思いは必ずしも猫には通じないですからね。
面白いですよね。そうそう、猫に関する活動をはじめると聞きましたが。
- はい。勤めの傍ら趣味ではじめました。名前が決まっていて、「yama to neco (山と猫)」です。
山と猫ですか?面白い組み合わせですね。
- 以前、三軒茶屋で「klala」という雑貨を中心としたショップをやっていたのですが、次は猫に関する何かをしたいとずっと思っていました。オンラインで猫と暮らしを結びつけたものを立ち上げようと思ったのですが、コロナもあって少しストップしていて。それで……昨年から山にハマっているのですが、山好きには猫好きが多いことに気が付いたんです。自分が生涯好きでいられる「山」というアウトドアと、「猫」というインドアの2つを結ぶライフスタイルの提案をしてみたいと思うようになりました。
具体的にはどのような活動をされるんですか?
- 猫といっても可愛い路線ではないもので、山や猫にまつわるプロダクトやアートを、オリジナルを中心にセレクトしたり山と猫にまつわる人の紹介をウェブサイトでできたらと思っています。
楽しみにしています。これから先、あおちゃんにはどのように過ごしてもらいたいですか?
- 2年前に具合が悪くなった時にはものすごく心配しました。当時、病院からもらった抗生物質を飲ませていたのですが、嫌がる薬を飲ませたり、病院に通ううちに、人懐っこかったあおが人見知りをするようになっちゃって……可愛そうな思いをさせたことがありました。その時は友人の紹介で行った別の病院でもらった塗り薬で、あっという間によくなりました。とにかく健康で長生きをしてくれれば、ほかには何もいらないです。
薬のせいかはわからないけど、セカンドオピニオンは重要ですね。病院選びもですが猫のために人間がしてあげられることはたくさんありますよね。
- 本当にそう思います。