人と猫とが心地よく生活できるようリノベーションされた空間に暮らす、人見さんご夫妻と「りんご」と「むぎ」。猫と男の暮らしには、奥さんが嫉妬しちゃう程の親密な時間が流れているようです。
写真・文:加藤孝司 編集:落合真林子(OIL MAGAZINE / CLASKA)
猫:りんご(7歳) 白猫の女の子。 むぎ(1歳) 麦わら柄の女の子。
男:人見智 会社員。趣味は料理、家計管理、海外ドラマ、バイクや車。そんなに詳しくないが家具も好き。
2匹の猫との馴れ初めを教えてください。
- 「りんごが先住猫で、2012年に里親募集で出会いました。7年間で2回引っ越しをしているので、りんごにとってこの家は3軒目になりますね。むぎは去年の11月からこの家に。彼女も保護猫です」
りんごはどちらかの連れ猫ですか?
- 「いや、最初から二人で飼っていました。連れ猫ではないです(笑)」
猫を飼おうと思ったきっかけは?
- 「妻と僕の共通の友人が猫を飼っていて、その子に会ったことで“猫って可愛いなぁ”と思って……それがきっかけで飼うことになりました」
智さんは、最初から猫派だったんですか?
- 「いや、犬派でした(笑)。だから僕は、最初は猫にあまりいいイメージがなかったんです。でも、猫を飼っている友人の家に行ったら、“猫ってこんなに可愛いんだ!”ってメロメロになってしまいました。そこから、りんごを飼うまでは早かったですね」
まさかの犬派だったんですね。
- 「そうなんです。でも、なんでそんなに猫に惹かれたのかは自分でもわかりません。当時少し人間関係に疲れていて、猫のピュアさに惹かれたのかな。りんごには一目惚れでした」
2匹の猫は女の子同士ですが、仲は良いんですか?
- 「仲は……悪いですね(笑)。りんごはもともと身体が小さくて、むぎはすぐにりんごを追い越して大きくなりました。でも、まだまだ遊びたい盛り。とにかくりんごと遊びたいみたいで、いつも追いかけ回しています。先住より新入りの方が家の中で大きな顔をしていますね(笑)。でも最近ではりんごも諦め気味。むぎも少し落ち着いてきていて、ちょっとずつ2匹が歩みよっている気がします」
まだ1年経ってないですからね。ところで、りんごとむぎ、名前の由来はなんですか?
- 「僕ら夫婦は二人ともミュージシャンの椎名林檎のファンなのですが、りんごを保護猫サイトで見た時に、妻と“椎名林檎に似ているなあ”という話になって。それでつけた名前です。普段は、“りんちゃん”って呼んでいます。むぎは……彼女のような毛の柄を“麦わら柄”というらしく、それでむぎにしました」
智さんと猫たちとの関係は、どんな感じですか?
- 「りんごは最初人見知りをして、僕らに懐いてくれませんでした。でも一緒に暮らしていくうちに、だんだん懐いてくれるようになってきたんです。そうすると、だんだんと愛情が増して。今では、パソコンをしていると膝に乗ってきたりするんですよ」
思い描いていた感じですか?
- 「ええ、まさに。うちにきて1~2ヶ月くらいで懐いてくれました」
猫たちは奥さん、智さんのどちらに懐いているんですか?
- 「基本、僕がりんご派で、妻がむぎ派です。猫側としても、そういう役割分担みたいで。だから、僕はりんごを腕枕して寝たり……そんな感じですね(笑)」
文字通りメロメロじゃないですか!
- 「りんごとは7年も一緒にいますので、あ・うんの呼吸みたいなものがあって、彼女が今何をして欲しいのかが分かるんですよね。むぎは、何を考えているのがまだ未知数なところもあって、まだこれからかな」
どんな瞬間に可愛いなあと思いますか?
- 「甘えられる瞬間が好きですね。りんごはむぎと違って、足にすり寄ってきたりはしないんです。でも、ちょっとだけ触れていたいというのがあるみたいで、足と足がちょっとだけ触れるような距離のところで“ゴロン”としたりして。その慎ましさみたいなところがたまらないですね」
りんごは、奥さんに嫉妬したりしませんか?
- 「りんごは、どうやら自分が本妻だと思っているようで。妻がいるときといない時とでの甘え方が違うんですよ。妻がいないと、昼夜問わず寝室から呼んでくるんですよ(笑)。それで僕に腕枕をしてとせがんできます。僕としては少しいけないことをしている気にもなるくらい、りんごからの強い愛を感じます」
猫を飼っているの中には2匹目を迎えるかどうか悩んでいる人も多いと思いますが、むぎが家に来てから、りんごの様子になにか変化はありましたか?
- 「むぎが来る前は、りんごは少し身体が弱いこともあってほとんど遊ばなくなっていたのですが、むぎに追いかけまわされているからか、少し活発になって食欲も増しましたね。“食べないとやられる”という動物的な本能が目覚めたのかもしれません(笑)」
2匹の猫たちに、どんな「猫生」を過ごしてもらいたいと思っていますか?
- 「人生ならぬ“猫生”ですか。そうですね……。猫って心地が良かったり、幸せだと感じると喉のあたりをゴロゴロならすじゃないですか。ウチの2匹の猫たちも、傍にいて撫でてあげていると、次第に身体の奥からゴロゴロという音が響いてくる。そんな時間を、できるだけたくさんつくってあげたいなあといつも思っています」