文・写真:堀井和子
フランスのミディ・ピレネーを車で廻る旅行中、パーキング脇にひっそり咲いていた野バラ。初夏の木々の緑を背景に、淡いピンクがかった一重咲きの花がひときわ美しく見えました。白い岩を覆っている苔の色と形も、日本の苔と違ったデザインで印象に残っています。
周囲には、他に初夏の黄や白、濃いピンクの野生の花が自然に咲いていて、静かな絵の前に立っていたような気がしました。コンクリートの支柱の小さい穴、手で編んだような針金のフェンスも印象に残っています。
段ボールのクッション材ですが、なかなか面白い造形だなあと、取り分けておいたもの。hole が何層か重なった立体的な断面が綺麗。
こちらは、薄い紙箱の底面を上げる役割をしていた白い紙。規則正しく並んだ9個の hole がリズミカルでいいなぁと思って、フレームに入れてみました。
規則正しく並んだ hole が気になるようになったのは、J PROUVÉ の銀色のパネルを見てからです。西麻布にあった頃のギャラリー SIGN で実物を見ることができましたし、PROUVÉ の本の hole の造形に見入っている時間も長かったと思います。
写真は “JEAN PROUVÉ 20世紀デザインの巨人”(2012年初版発行 阪急コミュニケーションズ)の本の、P144、145 Ecole de Bouqueval。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」
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