文・写真:堀井和子
フランスのプロヴァンス地方の Apt という街を歩いていた時、陶芸家のアトリエ兼ショップで見つけました。
17cm×17cm、角が丸い正方形のお皿は、ガラスのような釉薬のかかり具合が面白く、指先で弾くと陶器とは違った高く澄んだ音がします。
水色に青、濃いめのグレーにベージュ、オレンジ色に赤、赤に濃い茶色と、4枚選ぶのにかなりの時間を使ったことを記憶しています。何十枚も積み重ねられたお皿は、1枚1枚モダンアートの絵画作品のようで、手に取って見入ることができてドキドキしたことも。
水色に青のお皿は、薯蕷饅頭やシュウクリーム、ブリーチーズ、洋梨、グレーにベージュのお皿は葛餅やモンブラン、クルミのタルトがよく合って、ガラスのような釉薬の効果で、いつもと別の表情を見せてくれます。
釉薬の具合で、ベースの陶器の茶色がかすれるように縁やデザインに見えるところも、とても魅力的です。
三重県の大内山酪農バターです。
有塩バターですが塩分は控えめ、健やかなミルクの風味が心地よく感じられます。バターの風味を言葉で表現するのはなかなかむずかしいと思いますが、素直で爽やかで、我家のパンに塗って毎朝食べると嬉しいタイプ。
昔、渋谷にあった DANSK のお店が閉店する時に大規模なセールがあり、その機会に手に入れたサルディニア島の手工芸品。
コップやグラスを持ち運ぶために工夫されたカバーだと思いますが、そのために、こんなに丁寧で正確で美しい編み組みの仕事をしていることにハッとしてしまいます。手に持ってじっと見入っていると、ふわっと幸せな気持ちになるのです。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」