文・写真:堀井和子
夏はガラスや染付の器を使う機会が多くなります。
左のガラス器と片口は、素麺の麺つゆ用。麹町にあった和食器の店で1980年頃に買い、以来、真夏の麺類の食卓には欠かせない存在になっています。やや青みがかかったガラスの色、おっとりした形、サイズ感が絶妙で、その後見つけた他の器に手が伸びないままなのです。
右側の独楽文深鉢は、北野敏一さんの作品。
手描きの太い線と極く細い線、呉須の色の濃淡がダイナミックで潔く感じられます。縁から3cmくらいのあたりで上へ開いた形のおかげで、料理を盛り付け易く、盛った料理が堂々とおいしそうに見えるのが嬉しい器です。
染付の蓋付飯碗は、骨董店で5客揃いのものを買いました。池や川に自生する
薄いグレーのストライプのクロスは、マリメッコの PENTTI RINTA のデザイン。アクリルのトレーに星耕硝子さんのガラス皿、浄法寺塗りの汁椀との組み合わせで。
VANAGA のアイスクリームは、乳化剤、安定剤、合成着色料などの添加剤を使わずに、島根県奥出雲の木次乳業で作られています。
初めて買ってみたのは“ビターチョコ”。チョコレートのほろ苦さとコク、香りにインパクトがあるのに、後口はさっぱりしていて驚きました。
“抹茶あずき”も、抹茶の風味の生かしかたが素敵。抹茶アイスをいろいろ試してみましたが、抹茶を濃くすると、アイスクリームの方もコクを増さないとバランスがとれないようで、後味がまったり重くなりがちです。VANAGA の“抹茶あずき”は、あずき甘納豆のカラッとした甘さのアクセントがきいて、ベースのアイスクリームは牛乳のコクとおいしさが自然で、後口がすっと爽やか —— つまり、抹茶がひときわ魅力的に輝いているアイスクリームだと思います。
実は2016年に奥出雲の木次乳業を訪ね、チーズの製造工程を見学したことがあります。
通路に並んでいた白いボトルが、グレーの壁と水色の床をバックに、アートのように見えたことを思い出しました。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」