文・写真:堀井和子
体長9cm 高さ5cm の木製のブタは、20年前のスイス旅行の時、チューリッヒのお土産品を扱う店で見つけました。
木目がとても美しい木(種類はわかりません)、無塗装の仕上げ、サンドをかけていない口や耳の手前部分、控えめな墨色の眼 —— 木を見つめ、ゆっくり時間をかけて彫り進める様子を想像してしまいます。きっと大事に育てた一頭で、作った人になついていたんじゃないかと。
動物の木製玩具は、小さいサイズでデザイン化されたスイス製のものを3、4点持っています。好きな動物を選ぶのではなく、見ているうちに雰囲気や表情が気に入ってつい、というケースが多いでしょうか。
このスイス旅行のお土産のブタが特別な気がするのは、作った人の、この一頭に対する気持ちがストレートに伝わってくるからだと思います。
明るい茶色の紙箱は、FAUCHON のセイロンのティーバッグが入っていたもの。
簡素な造りの紙箱ですが、紅茶を思わせる茶色と、ロゴや文字の墨色のデザインが洗練されていてカッコいい。
このスイスのブタ専用の箱にしています。
下右、下左は、最近飲んだアンジューのロゼワインのラベル。
カベルネ・フランを主体にカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドして作られているそうで、透明の瓶にワインのロゼの色、このピンク色のラベルが印象的でした。
軽やかですっきりしていながら余韻に包み込まれるようなロゼの飲み心地に、甘めのピンクを囲むきりっと濃いピンクの罫が合っています。こういうピンクのきかせかた、いいですね。
上右は、フランスのルションの赤ワインの、上左はシャンパーニュの赤ワインのラベル。
私は色や文字にハッとしたラベルを、たまにコレクションに加えています。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」