文・写真:堀井和子
"LA CUISINE EST UN JEU d'enfants"
"la pâtisserie est un jeu d'enfants"
1966年10月、当時パリに住んでいた叔母が送ってくれた Michel Oliver の料理書です。
手描き文字ののびやかさ、自由な色使い、躍動感に溢れたイラスト —— おいしそうで美しい絵本に胸を躍らせ、いつかフランス語のレシピも読めるようになりたいと思いました。12歳の私にとって、料理の世界への扉がこの2冊だったのかもしれません。
この後出版された復刻版は、バインダー方式ではなく普通の綴じかたで、紙質が違っています。さすがに古い本の方は経年変化で紙の色がベージュっぽくなっていますが、おっとりとした厚みのある紙に印刷された文字と絵が特別に伝わってくるのです。
CLASKA Gallery & Shop "DO" 本店で SHOES LIKE POTTERY のサンド色のスニーカーを買い足しました。(このスニーカーについては以前(CLASKA ONLINE SHOP 「いいもの、みつけました!」第67回)書いたのですが、その後私も購入して、長く歩いても疲れない履き心地が気に入ってリピートしています。)
帰りがけにふと目に入ったのが鹿児島睦さんの図案を元に注染の手法で製作したという手拭。チョコレートブラウンがとても魅力的で、力強い花と犬のモチーフ、文字部分のデザインにハッとしました。
キッチンクロスと違って端を縫っていない手拭を、我家でどんなふうに使っていこうか、あれこれ考えをめぐらせているところです。
黒のほうろうの鍋は、ティモ・サルパネヴァがデザインしたヴィンテージのもので、フィンランドの W.Rosenthal 社製。(内側も白いほうろうです)
細長いフィッシュ・ディッシュ(楕円形の黒いほうろうの鍋)と、ひとまわり大きい赤いほうろうの鍋、復刻版の鋳物の鍋も持っています。
ずいぶん昔のことになりますが、ティモ・サルパネヴァの鍋が入荷したと、ヴィンテージのものを扱うお店から連絡があり、行ってみると、黒い鍋が2つ並んでいました。よく本で紹介されていたのは外側が鋳物のマットな方ですが、素直に好きだなぁと感じたほうろう製の光沢のある方を選びました。
このほうろうの黒は、真黒ではなくて少しグレーを含んで、温かくて優しい。食べものをおいしそうに見せてくれるので、料理して鍋ごとテーブルへ。そんな時に必要な鍋敷といっしょに撮影しました。
左上は2013年の CLASKA での展で製作した DO & iii+ka 製。右は信州で見つけたもので、使いこんで濃いアメ色になっています。
ちなみに下に敷いた紙も、今は製造されていないパントーンペーパー。
見本帳も持っていますが、このサイズの好きな色合いの紙を買うことができなくなって本当に残念です。(鹿児島さんの手拭に合いそうな、ほうろうの黒、木のアメ色、紙のこげ茶色を出してみました)
キッチンやダイニングで使うだけでなく、グレーのチビトートや白いTシャツにも合わせてみたいです。木綿なので春夏向きかと思いますが・・・。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」