文・写真:堀井和子
集めた外国の切手を入れたストックブックで、赤が印象的なグラフィックデザインの切手のページ。
古い切手や外国の切手を扱うお店で、手前のショーケースの切手を見ていると、お店の人に声を掛けられ、国別・テーマ別のファイルを渡されます。好きなデザインの切手を見つけると面白くなり、次から次へとファイルに見入っていると、あっという間に時間がたっていてハッとすることをくり返した時期がありました。
希少価値のあるもの、テーマに沿ってというわけではなく、気ままに、気に入った切手を買って帰る感じでしょうか。いつのまにか枚数がふえてストックブックへ。
2.5cm×3.5cm の小さな紙片に、こんなに心を動かされることが楽しくて、年を重ねても夢中になったり、はまったりする自分の好奇心を、ちょっとだけ誉めてやりたいような。
オランダのレッドクロスの切手は、消印の入ったデザインが、ものすごく美しい。それぞれの郵便局の消印に目を奪われます。
写真は銀色の紙箱の上で撮ったので、赤の色がアンダーかもしれません。実際はもう少し明るい色、きっぱりとした信念が伝わってくる赤です。
左は、上下左右のギザギザ部分(目打ち)がオレンジ色、ピンク系の赤、と凝った配色で、中は白いままという潔いデザイン。細い文字が周囲に入ったレイアウトが粋ですね。
右は、立方体のサイズと赤、濃いピンク、黄の配色にインパクトを感じました。
オランダの切手では、子供が描いた絵のシリーズもなかなか魅力的です。
濃いグレーのフレーム部分がきいていて、発色がとても綺麗。池の青、白鳥の白、子供の服の黄色、建物の赤 —— こんな切手を封筒に貼って出せるなんて、オランダの郵便を羨ましく思っています。
オランダのリチャード・ハッテンの作品、KZN BIRTHDAY CALENDAR(1998年の3刷)。
366人の有名な人の名前が誕生日に並んでいる万年カレンダーで、ドローグデザインの展覧会会場で購入しました。
左は、黄緑、水色、グレー、オレンジ色、右は黄緑、水色、グレー、黄色の4色を使って印刷されています。3月、6月、7月の色が違っているのですが、だいぶ印象が変わっていて、どちらか1冊を選べなくて、2冊買ってしまいました。
9月、10月は名前の文字が水色とグレーで、日にちの数字はこの2色が重なったブルーグレーになっています。
このカレンダーで、私はアルヴァ・アアルトと同じ誕生日だと知りました。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」