文・写真:堀井和子
9月初め、青山の Found MUJI で開かれていた“金属”の企画展を覗きました。
アルミ飯盒のフォルムに魅かれましたが、実際に使いそうもなくて諦め、次に手に取ったのが、このホーロー保存容器バルブ付き(タイで製造されています)。
電子レンジはNGですが直火やオーブンは使用できること、直線的ではなく丸みを帯びた黒のデザインが気に入って購入しました。
今年の夏、煮含めておいた干椎茸の繊切りと胡瓜や卵の冷たい麺料理をくり返し作っていて、干椎茸を時間をかけてもどす時、煮含めた後、冷蔵庫で保存する時に臭いが気になりました。密閉できて、容器にも臭いが移らないものを探していたところです。ホーロー製のアイテムは臭いが付きにくく、しっかり密閉できるポリプロピレンの蓋の構造も実用的。
長閑なデザインなので、作り置きで冷蔵保存した料理をそのまま、或いはオーブンで温めてテーブルへ運べるのが嬉しいですね。
岩手県鳥越の日用品店で見つけた通し編みのカゴ。
底が30cmの正方形で口径が43cmの円形、高さは15cmとかなり大きなサイズです。今は竹
底から縁までの通し編みの部分、色がぐっと深く温かくなって、今が一番美しいかなぁと思うことも。
車のガラス越しに、無造作に積まれたこのカゴを見てハッとして、大きなカゴを大事に抱えて無事に帰宅したことを鮮明に記憶しているだけに、自然に年月を重ねた竹の表情に特別な想いが湧くのかもしれません。
そう言えば、目黒の CLASKA Gallery & Shop "DO" 本店の棚の上に、これと同じカゴがありましたっけ。サイズはもうひとまわり大きかったでしょうか・・・・・・。
我家のお茶の時間に欠かせない急須。
昔、松本から乗鞍高原へ向う道沿いの民芸店で買いました。
縁が欠けてしまったので金継ぎをしてもらいましたが、経年変化で、掠れたり自然な艶が増したりした部分と合わさって、表情に素敵な奥行を感じます。
ずっと眺めていて見飽きない風格に圧倒されるようで、毎日面白いのです。
横断陸橋の修復工事中の階段です。
鉄の部分が錆びて穴が開いてしまい、塗り直した下地のペンキの白やグレーが、穴のアウトラインを際立たせています。
階段を上っていくと、時間によって穴が太陽の光を通して、ところどころアート作品のように見えました。
この後の修復工程はわかりませんが、期間限定の展示、散歩の途中で何だか心が持ち上がります。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」