文・写真:堀井和子
神社の境内に枝を張った夏蜜柑の木。
1月中旬、突き抜けるような青空と冷たく澄んだ空気に、夏蜜柑の黄色が、ひときわ鮮やかに見えました。ほんの少し黄色みを帯びた葉の色も、果実を引き立てているようで、色の組み合わせが魅力的です。
この後、白梅と紅梅が咲き始めるので、散歩の折、神社の脇の道を通るコースにしています。
「笑門」伊勢飾りは、松の内の後外してしまうのではなく、1年間、家や店の玄関、入口にお飾りするものだそうです。
ギャラリーのショーウィンドーのガラスに、道路を行き交う車や建物が映り込んで、その時間のニュアンスが加わっています。
凛とした「笑門」伊勢飾りに、新年に向う心意気を伝えてもらっているように感じました。
神保町の奥野かるた店で買った「日本一周・山と花の旅双六」。
東京をスタートして、北海道まで北上してから日本海側を南下、九州沖縄から四国を廻り、東京へ戻る旅の双六は、各都道府県の絵は山と花の木版画で仕上げてあります。
伊藤卓美さん製作の木版画の、おっとりとして懐かしい表現に圧倒されます。見入っていると、旅へ出かけて、いい空気を胸いっぱい吸いこんだように、気持ちが長閑になるのが嬉しいです。
高知の三嶺とヤマモモ、愛媛の石鎚山とミカン、香川の琴平大麻山とオリーブ、徳島の剣山とスダチ —— 穏やかな緑の色の表現や手描きの文字に、魅かれます。山と花を取り合わせて木版画で表現した双六、とても素敵ですね。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」