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堀井和子さんの「いいもの」のファイル

第45回:寄せ植え/気泡入りガラス皿/黒豆入り山型食パン/2月の三日月

文・写真:堀井和子

寄せ植え

 昨年5月、榊麻美植物研究所の盆栽展で買い求め(第30回)、ベランダで育てている寄せ植えの、冬の様子です。
 “野原”という題で、ウツギ、台湾バイカカラマツソウに雑草が混ざっているそうですが、深い赤紫色に紅葉していたり、極く小さな緑の葉があちこちから出てきたり、買った頃とは、だいぶ変化しています。

 毎朝の水やりの時、その小さい変化に吸い寄せられるのが楽しいです。花が咲いていない時期の葉の美しさを知りました。
 朝食の時間だけ、ガラス容器の蓋部分にのせてダイニングルームへ運び、野原を想うことができる盆栽です。

 右に見えているのは VUOKKO の1982年のカタログ。北欧の資料を整理した時に出てきたものです。
 フィンランドのテキスタイルデザイナー VUOKKO.E.NURMESNIEMI さんのブランドで、ワンピースやコットンの帽子、クッションカバー、ランチョンマット、ハンカチ、バッグなどの製品が紹介されています。大胆でシンプルなストライプや格子柄のアイテムは、今見ても欲しくなる魅力的なタイプ。

 最初の見開きの、粒子の粗いモノクロームの写真と横長のレイアウトが、すごくカッコいいと改めて見入ってしまいました。

ガラス皿

 右は直径20cm 深さ2.5cm の気泡入りガラス皿。正円ではない揺らいだ形が何ともいえず、泡の入りかたもエレガントです。
 直径11.5cm の小皿は、ずっと昔から我家で刺身の醤油皿として愛用しているもの。この縁の傾斜と深さは、とても使い勝手がよくて、磁器の小皿もいろいろ持っているのに、圧倒的にこちらの出番が多いです。

 食器棚の中でも、ガラスの器は、出し入れで触れ合ったりしない安全な場所を選んで収ってあります。特別待遇かもしれません。

 30代の頃から、ガラス作家の個展や民芸店、ヴィンテージのものを扱う店など、日本や外国旅行の折も、ガラスの器に魅きつけられては、数を増やしてきました。シンプルで何気ないようでいて、使いこんでいるうちにその美しさにハッとしていくタイプが好きかなぁと思っています。

黒豆入り山食パン

 今年のお正月、いつもは300g煮るのに、600gも煮てしまった黒豆。おいしく煮えたので、黒豆入りの山型食パンを焼いてみました。
 以前、ちょっと大きめの黒豆入り丸パンを焼いて、あんパンとはまた違った、あっさりめだけれど黒豆のコクが優しい仕上がりが気に入っていたのです。

 冬は一次発酵に時間がかかるのですが、(敢えて30℃に温めたオーブンの庫内ではなく、室内で)いい生地ができます。一次発酵の後で、水分をペーパータオルでふきとった黒豆に少量の強力粉をまぶして生地に混ぜ、分割して二次発酵、型に入れて最終発酵の後、焼き上げます。

 端の部分はぶ厚く切って冷凍しておき、室温で自然解凍してから、、オーブンで温めると、焼きたての感じに近くなります。

黒豆入り山食パン

 トーストしてバターを塗って、ミルクティーと。(バターだけでおいしいと思います)
 レーズンやカランツ入りよりも、黒豆入りの食パンに今、夢中です。

 細い三日月が好きで、特に冬は空気が冷たく澄んでいるので、写真を撮りたくなります。2021年2月15日17時45分、真暗になる前の空の色がドラマティックでした。


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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2022/02/09

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