文・写真:堀井和子
甥の
直径23cmのイタリア Saturnia社の白いプレートに、ビスキュイ(フランスの伝統色DICのF22)という、ややオレンジ色がかった茶色でプリントしました。
家と花、自動車、電車を描いた線が元気で飄々として楽し気。ぽってりした、やわらかい白にこのビスキュイ色の線がよく合っていて、4カ所にひとつずつのレイアウトも長閑で気に入っています。はっきりしたオレンジ色を選ぶときりっとし過ぎて、やや緊張しそうです。1カ所にひとつというデザインが多い中、この絵のタッチと色で4カ所というのが案外効果的だったかなぁと思います。
野上美喜さんの手織麻のランチョンマットもビスキュイ色で、縁に少し濃い色を入れたデザインです。
春野菜のサラダや卵料理、トーストサンドイッチを、おいしそうに見せてくれるプレートとランチョンマットだと思います。
マリメッコの FUJIWO ISHIMOTO さんの "MAISEMA" のテーブルクロスの上で朝食のセッティングに。綿の表現のクロスは、無地よりも、色が優しく伝わってくる感じで、しっかり色のある構成なのに、テーブルに着いている時の居心地がすごくいいのです。
左の「たことしょうねん」マックス・ベルジュイス作(ほるぷ出版刊)は、代々木上原の古書店 Los PAPELOTES(「いいもの、みつけました!」第15回)で見つけた絵本です。
凧の紐にぶら下がって少年が旅を始め、“なにもかもが、みんな、みどり。きも くさも みずも、それから —— わにも!”という大きな森へやってくるのですが、その見開きページに、ものすごくワクワクします。ココヤシなどの樹木の描写がダイナミックで力強く、構図に迫力があります。凧や少年の服、カヌーなどにビスキュイ色が使われているのも興味深いです。
「たことしょうねん」の後、「こころのやさしいかいじゅうくん」や「ぬすまれたかいじゅうくん」などの絵本に出合っては買い求めたり、オランダ絵本作家展へ足を運んで「おおかみとちびやぎ」の原画に目を奪われたり、ベルジュイスの絵のオランダの切手を手に入れたり。
ふと古書店で手に取って見入ってしまった一冊の絵本から、自分の興味や好奇心がふくらんで、いつのまにか、その作家の足跡を辿っている —— 我家の本棚の絵本は、こんなふうに数を増やしています。
最近気に入っている“落花道楽”は、千葉産落花生、青森産の卵、国内産小麦粉を使って作られた菊泉堂製菓のお菓子。
落花生が香ばしく、薄い生地をクルクル巻いた筒状で軽快な歯ざわり。カシャッと崩れる感触が心地よく、アイスクリームと食べることも。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」