文・写真:堀井和子
テキスタイルデザイナーの鈴木マサルさんが、ネットショップの SCOPE と開発したテーブルクロス。
『26枚のテーブルクロス』(文化出版局)の本で、私がヴィンテージのマリメッコのテーブルクロスを使っていることを知って、送ってくださいました。
ヴィンテージのマリメッコの生地を目指して、生地を織るところから始め、鈴木さんがテーブルクロスのための柄をデザインしたそうです。
ヴィンテージのテキスタイルは、おっとりとしていてテーブルに自然に馴染む風合いや、綺麗にプリントされていても経年変化で、すっと肩の力が抜けるような色合いが魅力です。
弾かれるような光沢や、いつまでも張り詰めたような色のテーブルクロスはちょっと苦手なので、今、我家で使っているのはヴィンテージのものが多いでしょうか。
早速洗って20分くらい乾燥をかけ、平たく伸ばして乾かしました。
アイロンはほとんど要らないくらい、丈夫でしなやかな風合いです。
澄んできりっとしたブルーと、ニュアンスのあるグレーを重ねて、濃紺の部分を表現している幾何柄は、シミなどが目立たない色の組み合わせです。柄の間に生地の白い部分が少しだけ見えていますが、その白で、全体にリズム感とキレが生まれる気がしました。
このテーブルクロスは、上にのせた器やメニューが際立って、魅力的に目に映るのが新鮮です。
サンドブラストでアルファベットの文字を抜き、カットで縦にラインを刻んだガラスボウルは、三枝静代さんの個展の時の作品。
このガラスの厚みが、サンドブラストやカットのデザインを支えているんですね。薄手のガラスでは生まれない存在感が、カッコいいです。
ティーポットやプレートの白、蜂蜜やマーマレードの色、トーストの焼き色が、このクロスの上で、澄んで強い記憶に。
上に何かをのせるのが嬉しい、のせてみたくなるクロスだと思います。
濃い色のクロスは、パン屑が目立つので、ランチョンマットもおすすめです。
野上美喜さんの手織麻ランチョンマットは、濃いブルーと白の格子柄。
横断歩道橋の下、ヤマザクラが枝を伸ばしていて、散歩の途中で立ち寄っては開花を待ち侘びています。
花が咲く少し前、枝ぶりと蕾、線と点の様子が、薄いグレーのコンクリートの背景で、絵画のようでした。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」