文・写真:堀井和子
親しい友人との、急ぎではないやりとりは、メールではなく、郵便で。
ポストカード2、3枚に横書き、封筒に気に入ったデザインの切手を貼るスタイルです。
縦書きにすると自分の字が、いっそう様にならない気がして、便箋に書くのは苦手になりました。
頭語と結語を使うことを考えたら、ペンを持つ手がかたまってしまったことが何度も。
いつもの自分の言葉で素直に伝えたいから、下手な字でもカードに一生懸命書くことにしたのです。
文房具専門店や民芸店で、じっと封筒を見ていて買い求めてしまうのは、オフホワイトや生成り色、薄いベージュの紙を使ったもの。
右の一枚漉封筒はしっかり厚みのある和紙で、マットな色合いですが、ハリと澄んだ艶も感じるところに魅かれました。
下はパリの文房具店で見つけた、CALLIGRANEの、細長いプロポーションのカードと封筒のセット。格子柄が浮き出るように漉いた白に近い生成り色の和紙に、雰囲気があって素敵です。
上はCrane’sのロゴが透し入りで入った、クリーム色の横長封筒。ほんの少しオレンジを感じるクリームの色合いと、ハリがあってマットで上等な紙質は、ふと字をその上に書きたくなるデザインだと思いました。
右はHATAGUCHI COLLECTIVEのカードと封筒のセット。
色の取り合わせも、普段見ることが少ないプロポーションも、個性的で面白いので、例えば手土産の最中や大福、どら焼の包みに添えたら合いそうな気がしました。
インドの繊維工場で廃棄される木綿を再利用して作られた紙に、シルクスクリーンでプリントしたものだそうです。
左は、かみ添の2つ折カードと封筒セット。
光沢のある濃いグレーが銀色に見え、線の構成に趣きを感じます。
封筒は斜めにラインが走る漉きかたの生成り色の和紙で、カードと合わせると、軽やかな印象に。
千駄ヶ谷小学校の校庭の大きな柳の緑を見た後、斜め向いのパピエ・ラボで見つけたカード。普段使っているカードとは違う色使いや封筒との組み合わせに、どんな使いかたをしてみようかと思いをめぐらせているところです。
罫線やロゴをエンボス加工で入れたエンボスノート。
久保貴史さんがデザインしたKOKUYO DESIGN AWARD PRODUCTSです。
オフホワイトの紙にエンボス加工だけのデザインは、見入ってしまう美しさで、多分、私の字をこのノートに書き入れることはないだろうと思います。
以前から気になっていたノートですが、そんな思いもあって、しばらくは買えませんでした。
今は、そういうノートを持っていてもいいかなぁ…と。
回転印(欧文数字3号8連のスタンプ)。
欧文文字のスタンプはゴシックと明朝2タイプ、サイズもいくつか持っています。
パッケージの軽快な黄緑色と、エンボスノートのオフホワイトを合わせて、並べてみたくなりました。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」