文・写真:堀井和子
右上は京都の小峰紙器、小峰征太郎さんに作っていただいた紙の貼り箱。
ポストカードを収納するための、しっかりした箱を考え、竹尾の見本帖本店で一生懸命ああでもない、こうでもないと、マットなシルバーの紙を選んで、サンプルを制作していただきました。
表側、裏側共に、このシルバーの紙を貼った箱は、凛とした美しさと、クールでいて手仕事の温かさが際立っています。惚れ惚れするような仕上がりでしたが、実際の制作には至りませんでした。
値段の調整で表側だけ貼る案も出ましたが、どうしても表裏貼った箱が素敵に思えたので。
他で見たことがない、丁寧な仕事のシルバーの紙の貼り箱 —— 今は私が特別大事にしているポストカードを収ってあります。
右下は1990年頃、松本の眼鏡専門店のショーウィンドーで見て、一目惚れで購入したアルミの眼鏡ケースです。
今は、留め金が壊れて、ぴたっと閉じることができないので、ダイニングテーブルの脇に、リーディンググラスを入れて置いてあります。
極く軽量のボディは、自然なカーブや接合部分が粋なデザインです。
このシンプルな造りと軽さ、やわらかなフォルムは、使い勝手が非常によいので、外出時にぜひ使いたいタイプでもあります。
その後、似たタイプを探してみているのですが、ずっと見つけられないまま……。
2枚目の写真は、貼り箱を開けたところ。一番上のポストカードは JEAN PROUVÉ の “Port Hole Panel 1950”(SIGN)。
眼鏡ケースの裏側。
下に広げてあるのは、9月中旬にやっと見に行けた JEAN PROUVÉ 展のフライヤー。折り畳み方が洒落ています。
JEAN PROUVÉ 展では、建築に使われるアルミやガラス、木の構造アイテムが数多く展示されていて、ワクワクしました。
アルミなどが経年変化によって細かい線のような傷が付くと、銀色がフワッと一段階陽気に持ち上がるように感じますし、鉄なども錆が出てからの雰囲気がカッコいいなぁと。
2023年のダイアリー。
上 2/5 がシルバー、下 3/5 がグレーの表紙が気に入って、こちらの HIGHTIDE 製を選びました。
私は、マットなこのシルバーの質感に、とても弱いみたいです。
左の BARNEYS の紙箱も、正方形の形とシルバーの色に魅力を感じて、とっておくことにしました。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」