文・写真:堀井和子
フィリップ・ワイズベッカーさんの“MON MOBILIER”は、2023年4月25日発行のノート型作品集。
くすんだ灰緑色と、生成色に近いくらい抜いた黄色、ところどころシルバーの色使いがシックで、文字も鉛筆のラインが光ったようなグレーで印刷されています。
2009年に銀座のG8ギャラリーで開かれた「recollections」展で購入したポストカードが大好きで、ワイズベッカーさんの緑が気になっていました。
そのポストカード“ECODECO NORIT”は、生成色の地にグレーのライン、やや明るめの灰緑色を色鉛筆で塗ったような描写が優しいソファの絵。“MON MOBILIER”の方は、落としたトーンでマットな灰緑色のせいか、カチッとしていて静謐な印象です。
GALLERY CLASKAでの展を見た後、888ブックス/パールブックショップ&ギャラリーでのフィリップ・ワイズベッカー展も見ることに。
“WAGON“の原画が、素直でしっかりした木目のフレーミングで並んでいて、ワイズベッカーさんの独特の色使いと貨車へ向ける好奇心に、ワクワクしました。
作品16点を1枚の紙に印刷し、地図のように折り畳んだ"WAGON“は、なかなか面白いスタイルだなぁと心動かされ、2冊買ってしまいました。
代々木上原駅から坂道を上っていくと、お洒落なアイスクリームショップやカフェ、ケーキの店が点在していて、小路の先の住宅地も長閑な雰囲気。次回は、このエリアをもう少し散策してみようかと・・・。
ワイズベッカーさんの“WAGON”を見ていて、ふと思い出した、フランス南西部ロカマドゥール近くの民家の屋根瓦。
フランスの田舎を車で廻っていると、その地方、地域で屋根瓦の色が違うことに気づきます。赤っぽいレンガ色だったり、石のようなグレーだったり、写真のようにオレンジがかったベージュ色だったりで、街の印象も変わる気がしました。
イチジクの木の後に見える屋根は、かなり年月を経て、草や苔が自然に一体となったデザインに感じられます。初夏の新緑とこの屋根瓦の色、とびきりの相性に思えてきました。
南青山 HIGASHIYA man の丸ボーロ。10個の木箱入りです。
佐賀の丸ぼうろは、デパートの銘菓コーナーなどで見かけると、よく買っていました。
カステラもそうですが、小麦粉、砂糖、卵、蜂蜜を使ったシンプルな焼き菓子は、お店によって少しずつ風味が違い、自分たちの好きな味わいをついつい探してしまうものなのかもしれないです。生菓子ではなく、日持ちするので、おやつのために買い置きたくなりますし。
HIGASHIYA さんの丸ボーロは、しっかり濃いめのきつね色で、サクッとした焼き加減が魅力的。薄い円盤形を指先で割ると、キャラメル色っぽい気泡状にふわっと焼けていて香ばしい。
こういう直球勝負みたいな焼き菓子は、食べ飽きることがなくて、我家の買い置きおやつが、ひとつ増えそうです。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」