文・写真:堀井和子
“Hirams kokbok” ICA bokförlag Västerås は、北欧旅行の折に購入した Hiram さんの料理書で、表紙が青、赤、黄と3冊のシリーズのうちの一冊。
黒いワンピースに白いエプロン、髪を頭の真上で束ねたおばさんが、台所で奮闘する線画のイラストがユーモラスで、発溂としています。
このブルーの表紙の本は、1月から12月まで月ごとのメニューが紹介されていますが、台所での展開の他、季節の風や太陽、木の様子まで描かれている挿絵を目で追うのが、とても楽しい。
一生懸命、料理に向き合う Hiram さんの心意気が伝わってきて、真似をして台所に立ちたくなりますし、食いしんぼうなんだろうなぁと親近感を覚えて、ニコニコしてしまいます。
“Uppländska bröd”は、1981年発行の、スウェーデンのパンの本。
大きな穴開き円盤形のクネッケみたいなパンや、ずっしり重厚そうなライ麦パン、ポテトブレッドなど、普段味わう機会の少ない、伝統的で素朴な種類が紹介されています。
自慢のパンをオーヴンから取り出すスウェーデンの婦人の台所の写真も興味深く、フェンネルとアニスを加える配合が多いので、どんな風味なのかと好奇心を刺激されます。
モノクロームの写真とレシピの構成ですが、ハードカバーの地色の、このグレイッシュな深い水色が印象的です。
外国旅行中に出合った本は、辞書を引きながら材料や配合は知ることができても、スウェーデン語など、文章を読むのはむずかしい。
それでも買い求めて、ずっと大事にしているのは、本そのものの佇まいに心を奪われるからなのだと、最近感じています。
7月に TEMBEAで、巾着 POCHETTE STRIPE を買いました。
“必要最低限のものを入れて持ち歩くサイズ”という説明に引き寄せられて、20cm × 22.5cm の小さいサイズ、白っぽい方のストライプを選びました。
近所を散歩する時、少しの買物の時は、財布と鍵だけ持って出かけますが、肩に掛けられる、軽くて小さいバッグがあったらいいなと考えていたのです。
ショーウィンドーで見た時は、巾着の形に最初やや戸惑いましたが、お店に入って実際に肩に掛けてみると、PVC コーディングをしてあることで、きりっとしたフォルムになり、透明な光の反射が綺麗でした。
何よりデニムと T シャツに、すごくよく合って、面白いバッグだなぁと。
真夏の外出が、ワクワクし始めました。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」