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こどもとわたし

04. 自分に似ているからこそ

写真・文/落合真林子 (OIL MAGAZINE/CLASKA)

Profile
落合真林子 Mariko Ochiai
大学卒業後、 出版社勤務を経て現在CLASKAの企画編集、 web magazine 「OIL MAGAZINE」 編集長。 東京で夫、 小学生の娘、 猫2匹と暮らしている。 趣味は読書とドラマ鑑賞。


新学期がはじまり、 娘は3年生になった。
彼女が通う学校は毎年クラス替えがあるので、 始業式の日はいつも私の方までそわそわする。

「クラス」 を大人の世界に置き換えるならば、 会社或いは部署、 ということになるだろうか。
毎年上司や同僚がほぼ総入れ替わりすることを想像してみると、 なかなかの荒波だと思う。

桜
春休みがあっという間に終了。 学童用のお弁当が、内容・量ともに私と変わらなくなった。


「〇〇ちゃんは、 オールラウンダータイプですよね」

去年の夏休み、 お世話になっている学童の個人面談でこう言われた。

「仲のいい友達はいるんですけど、 あまり特定のグループにこだわらないというか一人でも楽しそうですし、 その時の気分で色々なところに顔を出して楽しそうに過ごしています」

それを聞いて、 思わず笑ってしまった。
私が苦笑いしているように見えたのか、 先生は 「いいことだと思いますよ?」 とフォローしてくれた。

そう言われるまで深く考えもしなかったが、 確かに娘にはそういうところがあるかもしれない。
学校のことを話す時によく名前が出てくる子や休日に約束をして遊ぶ友だちはいるが、 若干湿度が低めというか、 常に特定の誰かと一緒につるんでいたいという感じはない。

私が知らないことも沢山あるとは思うけれど。

京都御所

「オールラウンダータイプ」 と言われて思わず笑ってしまったのには、 もう一つ理由がある。
私自身も子どもの頃、 娘と似たようなところがあったからだ。

いわゆる転勤族の家庭だったので、 小学校は3つ、 中学校は2つ、 高校ではじめて入学から卒業まで同じ学校に通った。
それぞれの土地でそれなりに楽しい学校生活を送っていたが 「そのうち別の場所に引っ越すんだ」 という大前提が常に自分の中にあったからか、 今振り返ると人間関係に少しドライというか、 あまり執着しない子どもだったように思う。
血は争えない、 ということか。

その傾向は、 高校生になっても続いた。

友人たちは皆何かしら部活動をやっていたが私は帰宅部を選び、 放課後は音楽や雑誌、 映画など趣味の時間に費やし、 それなりに充実していた。
ただその一方で、 部活に精を出している同級生たちと自分を比較して青春コンプレックス的なものを感じていたのも確かだ。
そんな過去の自分の気持ちはなんとなく理解しつつ、 あの頃吸収したものが今の自分の仕事に繋がり、 当時の貯金が今でも自分を助けてくれているというのはなかなか感慨深いものがある。


娘を見ていると時々、 自分の人生の答え合わせをしているような感覚になる時がある。

答え合わせというか、 未来を予測できるような気になってしまう、 という言い方が正しいのかもしれない。 血が繋がっていて自分に似ているところがあるからこそ、 そういう勘違いをしてしまう。

「自分が幼い頃、 そうだったから」
「娘と同じ年くらいの頃にやらなかったことを、 大人になった今後悔しているから」

娘に何かを薦めたり諭したりする時、 良くも悪くも過去の自分を娘に投影して考えてしまいがちだ。
それが吉と出る場合もあるし、 そうではない場合もあるだろう。
自分と似ているけれど娘は自分とは違うひとりの人間なのだ、 ということを忘れずにいたいと思いつつも、 時にそれが難しかったりする。

まだ “色” がつく前の純粋な感覚で娘が選択したさまざまなことを極力尊重して、見守りながら伴走していけたらと思う。

皇居外苑
我が家の愛猫、りんすけ。

始業式の日の夜、 娘に 「クラス替えどうだった?」 と聞いたら 「大当たり! でも、 先生はちょっとだけ怖そう」 という返事。 まずはひと安心だ。

3年生の1年間、 娘が自分らしく楽しく学校生活を送れますように。


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2023/04/20

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