文・写真:堀井和子
5月に CLASKA Gallery & Shop "DO" たまプラーザ店で開かれていた“榊麻美植物研究所”の盆栽展を見ました。
盆栽に興味を持っていたのですが、剪定がむずかしそうなこと、我家のベランダは時折強風に襲われることなどもあって、見入っては選べずに帰っていたのです。
今回の展示では、樹や寄せ植えの種類、鉢の色・形も様々なタイプが並んでいて、初めは目移りしていましたが、楕円の鉢の根上がりアケビと円形の鉢の寄せ植えを買って持ち帰ることができました。
「地面から20cm以上ある高さの台」がなかったので、しばらくの間、鋳物のカゴを逆さにした上に置くことに。(置き場所や水やり、肥料など育て方についての説明書が、とてもわかり易くて助かりました)
円形の鉢は“野原”という題が付いていて、ウツギ、バイカカラマツソウなどが寄せ植えされています。バイカカラマツソウのフワフワした白い花は微風にも揺れて、風をいつも感じていられるのが素敵ですね。
父が仕事の関係で松本にマンションを借りていた頃、週末、しょっ中松本を訪ねていました。ハマ園芸という植物の専門店で、母と山野草の鉢植えを見て廻るのが楽しかったことを思い出します。
小さな鉢に丁寧に寄せ植えされた野草を見つめていると、その植物が育ったあたりの空気を吸ったような気持ちになります。
美濃和紙を扱う「松久永助紙店」の紙糸を、パピエ・ラボで見つけました。少し光沢のある生成っぽい白い色と、手に触れた時のシャリシャリ爽やかな感覚にうっとりします。
半透明の紙で包んで、この紙糸を巻いて結ぶ —— 誰かに何かを贈ってみたくなる紙糸かもしれません。
鹿児島の工房「しょうぶ」で製作されたぽち袋3枚セット。
紙にイモ版を押しているうちに、夢中になって何枚も何枚も押し続け、まわりじゅう紙だらけ・・・という経験があります。イモ版は刻んだその時にしか使えませんし、押していると水分が程良く抜けて綺麗な跡が見えてくるので、やめられなくなるのです。
このぽち袋、楽しかったり嬉しかったりの、版を押す人のリズムが伝わってきました。すごく自由で勢いのあるデザインですね。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」