文・写真:堀井和子
夏の暑い季節になると、Minowashi Sox
(第33回)
しか履きたくなくなるくらい、履き心地がサラッと爽やかなので、今年もリピート買いにパピエ・ラボを訪ねました。
その時、棚の一番上に置いてあったのが、イタリア、ミラノのアーティスト、MADDALENA SELVINI の Chest M(34×33×19cm)。
広い幅の経木を、大らかに編んで作ったバスケットみたいな構造が面白い。
U 字型のボール紙のようなパーツは、メープルを削った薄い木の間に紙を挟んであるので、曲げることができる、切り込み部分に差し込むようにして、引っ張ったり曲げたりして組み立てる、など説明を伺っているうちに、“いいなぁ”の気持ちが膨らみ、買うことにしました。
ただ、上手に組み立てることができるか自信がなく、大事に抱えて持ち帰れる距離だったので、江藤さんに、その場で U 字形から組み立てていただきました。
引っ張ったり曲げたりの加減にコツが要る作業を、目の前で観察できて幸運でした。
しっかりした構造なので、何かを入れて見てみたくもなりますが、今しばらくは、この経木を組んだような面白いデザインを、見ていたいと思います。
第56回で青の VOLVO について書きましたが、私が一番
歩道橋の上で、走っているXVに気づき、やっと撮影できました。
どうして? どこが? と問われても、自動車に詳しい訳ではない私は、正確に答えられませんが、道路上のすごく遠くに前面を見て、あ! 好きだなぁと感じると、たいていスバルの、それも XV で、見た時の嬉しさの針の振れ幅が一番大きいのです。
自分が好きな車種を認識して、道路上を探すようになり、メーカーのロゴ、車体のデザインを見た後、必ず車種名を確かめ、さらに見つめるうちに、遠くからでも、ほんの一部分でも、XV に気づけるようになったのかもしれません。
XV の2代目は他の色もなかなか魅力的でしたが、ハイパーブルーは、やっぱり特別です。
車を買うことはないのに、旧車をコレクションすることもないのに、いつも道路で XV を探しているような気がします。
外苑前、VOLVO の新しいショールーム近くの路面で見た文字。
細かい傷が一面に付いた銀色の板は、四隅を丸く加工してあって、水色の、のんびりした字間で、水道メーターとプリントしてあります。
ハッとする、この水色は、炎天下で見ると新鮮で素敵です。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」