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堀井和子さんの「いいもの」のファイル

第80回:Chest M/スバルの XV 2代目/水道メーターの文字

文・写真:堀井和子

 夏の暑い季節になると、Minowashi Sox (第33回) しか履きたくなくなるくらい、履き心地がサラッと爽やかなので、今年もリピート買いにパピエ・ラボを訪ねました。

 その時、棚の一番上に置いてあったのが、イタリア、ミラノのアーティスト、MADDALENA SELVINI の Chest M(34×33×19cm)。

Chest M

 広い幅の経木を、大らかに編んで作ったバスケットみたいな構造が面白い。

 U 字型のボール紙のようなパーツは、メープルを削った薄い木の間に紙を挟んであるので、曲げることができる、切り込み部分に差し込むようにして、引っ張ったり曲げたりして組み立てる、など説明を伺っているうちに、“いいなぁ”の気持ちが膨らみ、買うことにしました。

 ただ、上手に組み立てることができるか自信がなく、大事に抱えて持ち帰れる距離だったので、江藤さんに、その場で U 字形から組み立てていただきました。

  引っ張ったり曲げたりの加減にコツが要る作業を、目の前で観察できて幸運でした。

Chest M

 しっかりした構造なので、何かを入れて見てみたくもなりますが、今しばらくは、この経木を組んだような面白いデザインを、見ていたいと思います。

スバル

 第56回で青の VOLVO について書きましたが、私が一番かれている、比較的最近の車は、スバル XV の2代目 GP 系(2012年~2017年)ハイパーブルーです。

 歩道橋の上で、走っているXVに気づき、やっと撮影できました。

 どうして? どこが? と問われても、自動車に詳しい訳ではない私は、正確に答えられませんが、道路上のすごく遠くに前面を見て、あ! 好きだなぁと感じると、たいていスバルの、それも XV で、見た時の嬉しさの針の振れ幅が一番大きいのです。

 自分が好きな車種を認識して、道路上を探すようになり、メーカーのロゴ、車体のデザインを見た後、必ず車種名を確かめ、さらに見つめるうちに、遠くからでも、ほんの一部分でも、XV に気づけるようになったのかもしれません。

 XV の2代目は他の色もなかなか魅力的でしたが、ハイパーブルーは、やっぱり特別です。

 車を買うことはないのに、旧車をコレクションすることもないのに、いつも道路で XV を探しているような気がします。

水道メーター

 外苑前、VOLVO の新しいショールーム近くの路面で見た文字。

 細かい傷が一面に付いた銀色の板は、四隅を丸く加工してあって、水色の、のんびりした字間で、水道メーターとプリントしてあります。

 ハッとする、この水色は、炎天下で見ると新鮮で素敵です。


Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」


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2023/07/25

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