文・写真:堀井和子
8月初め、LE CAFE DU BONBON の久保田さんが、夏のモンドール、マニゴディーンを贈ってくださいました。
マニゴディーンは、フランスのサヴォワ地方の牛乳(無殺菌乳)で作られるウォッシュチーズで、側面にエピセア(
樹皮の濃い茶色、上面のオレンジがかったベージュ、切り口の白っぽいクリーム色の扇形の美しいこと。
中身は柔らかいクリーム状で、コクがありながら、エピセアの独特な清々しい香りと、チーズの酸味で、爽やかな夏の味わいに感じました。
久保田さんが作るビスキュイ・ド・サヴォワ、ビスキュイ・ピエモンも、サヴォワ地方の伝統的な焼菓子ですが、この夏のモンドールも、山の空気を吸ったような澄んだ風味が素敵です。
実はこのマニゴディーンと食べる甘くない焼菓子が添えられていたのですが、この焼菓子については、10月の回に紹介したいと思います。
夏のモンドール、マニゴディーンは Sunday fromage から送られてきましたが、チーズがグレイッシュなエーデルワイスの絵柄の包装紙で包まれ、白い紐で結んでありました。
アルプスの草を食んだ牛のチーズにぴったりのパッケージですね。
マニゴディーンの写真のカードの裏側にはチーズの説明文が印刷されていて、チーズまわりのデザインにも心を動かされました。
我家の本棚脇に掛けてある、ピカソのリトグラフ。
ピカソの作品の中でも、手描き文字が使われている展覧会のポスターが好きです。
「いいもの、みつけました!」第40回で紹介した顔のモチーフの作品などでも、のびやかで楽し気な文字の勢いに、特に魅かれるのです。
ピカソのポスターに使われている、オレンジ色、朱赤にも、ハッとしてしまいます。
工事現場で建築資材などを入れておくコンテナが、褪めたオレンジ色になっていました。
ペイントしたメタルが、経年変化によって、色が褪めたり、細かい傷が付いたり、摩れてマットになった様子に、ついつい見入ってしまうことが多いです。
産業廃棄物運搬車なども、時々、とてもアーティスティックなデザインの作品に思えたりします。
経年変化後、塗り変える時も、自由にカッコいい色を選んでペイントしているんじゃないかと。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」