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短期集中連載
堀井和子さんと一緒につくる、
大人が毎日着たい服
第4回

“大人の日常着”をテーマにした、堀井和子さん×CLASKA Gallery & Shop "DO"の服づくり。今回は、堀井さんのアイデアやイメージを元に作成したスケッチを眺めながら、生地や色味についてあれこれディスカッションをした様子をお届けします。

写真:山平敦史 文・編集:落合真林子(OIL MAGAZINE / CLASKA)

連載第4回
毎日着たくなる服のかたち、色、素材って?

Profile
堀井和子(ほりい・かずこ)
1954年東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO"と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。


ブランド名に込めた想い

今回は、前回堀井さんにお話しいただいたことをもとに、ドーのオリジナルアパレルのデザインを担当している荒井菜穂が作成した洋服のラフスケッチをお持ちしたのですが、その前に……「sept septième(セット・セッティエーム)」というブランド名に込めた思いについて改めてご紹介出来ればと思います。クローゼットを開けた時につい手が伸びるような日常着を、というコンセプトから着想を得た名前ですね。

「sept septième」ブランドロゴ
堀井:
「7/7」という意味のフランス語なんです。“一週間のうち、毎日でも着たくなる服を目指そう”ということで。このテーマから連想する言葉って、たとえば“毎日”とか“いつも”とか、いくつかあるんですけど……。ドーのディレクター大熊健郎さんから、「“毎日”を“7/7”という数字で表現して、その読み方を文字で添えるのはどうでしょう?」という案をいただいたんです。

なるほど。

堀井:
英語だと「seven-seventh」、フランス語だと「sept septième」。文字にした時に、フランス語の方が可愛くていいなぁと思い、フランス語を採用しました。タグにプリントすることも踏まえて考えて……。
「sept septième」ブランドタグのデザイン案
堀井さんが作成してくださった、タグのデザイン案。 堀井さん撮影

大文字小文字、筆記体か否かでずいぶん印象が違いますね。タグが素敵だと、服への愛着がより増す気がします。「7/7」という名の通り、毎日の着こなしに必要とされるような服をつくりたいですね。


服のスケッチ

つい手が伸びる日常着を

さてここからは、今回の服のデザインを担当させていただく荒井(ドーのオリジナルアパレルデザイナー)にも登場してもらいます。

荒井:
よろしくお願いします。前回堀井さんに伺ったアイデアやイメージをもとに、一旦ラフスケッチに落とし込んでみました。今回は、これをベースにディティールや使用する生地についてご相談させていただいて、次回は製品サンプルをご用意できればと思っています。

ジャンパースカート、シャツ、パンツ、スカート、Tシャツ。全部で5アイテムですね。

堀井:
ジャンパースカートにポケットをつけるの、いいアイデアですね。縦のラインと相まって、身体を華奢に見せてくれそうです。中央に並ぶボタン、良いものが見つかるといいな。
荒井:
生地の色味は、どんな感じがイメージですか?
堀井:
このジャンパースカートに限らずですが、グレーはオールシーズン使えるので良いんじゃないかなと思っています。4月発売ということで……春夏らしさを感じる爽やかな色もいいですけどね。
堀井和子さんと荒井菜穂さん
荒井:
そこまでタイトなシルエットにはしませんが、丈が膝下なので、動きやすいようにストレッチが入った生地がいいかもしれません。色は、先ほど堀井さんがおっしゃったグレーやナチュラルなベージュあたりがインナーとも合わせやすくていいのではないかな、と。2色展開にしてもいいかもしれませんね。
堀井:
デザインのディティールでいうと、脇部分の開き具合もキーになる気がします。このワンピースって、下にTシャツを着てさっと近所に出かけられる便利さ・軽快さが魅力だと思うので、あまり開きすぎていると気になっちゃう気がして。
荒井:
なるほど。そのご意見を踏まえて、一旦サンプルに落とし込んでみますね。

シャツはどうでしょうか? 前回堀井さんから頂いたアイデアは、メンズライクなイメージのものと女性らしいものと2種ありましたが。

荒井:
「sept septième」の服はワンサイズ展開にさせていただく予定なので、なるべく幅広い体型の方に楽しんでいただけるよう、全体的に少しゆとりのあるサイズ感にしたいと思っています。シャツに関しても同じで、ある程度ゆとりのある身幅がいいのかなと考えています。着丈も、INにしてもOUTにしても決まるバランスを探っていけたらいいですね。
堀井:
丈も重要だし、肩周りのデザインも迷いますね。肩幅ピッタリのつくりなのか、それとも少しドロップする感じか……。半袖シャツだったら、個人的には肩幅ジャストが好みだけれど。

生地の色味や柄によってもだいぶ印象が変わりそうですね。

堀井和子さん
荒井:
今日はいくつか生地のサンプルをお持ちしました。堀井さん、どんな生地がいいと思いますか? ジャンパースカートと同様、シャツも2~3種くらいカラーバリエーションがあってもいいかなと思っています。

ギンガムチェックにストライプ……。ベーシックな柄ものも良いですね。これだけあると迷ってしまいます。

堀井:
えーっと……(しばらく生地を眺めて)、これが良いと思います。肌触りもさらさらして気持ちいい。リネンですか?
生地サンプル
荒井:
一見リネンのようなのですが、コットン100%なんですよ。洗濯して干したらすぐに乾く生地なので、夏の日常着にはピッタリだと思います。色味は今選んでいただいたネイビーと……やはりグレーも捨てがたいですね。
堀井:
一つくらいは、ストライプなど柄ものがあっても良いかもしれません。

ボトムスはどうでしょうか。スカートは、堀井さんが京都でオーダーでつくられたという前ボタンのスカートがベースになったデザインですね。

堀井和子さん私物のスカ―ト
連載第3回で紹介した、堀井さん私物のスカ―ト
荒井:
そうですね。生地は、もう少し地厚でハリのあるものを使う想定で考えています。堀井さんが愛用されているスカートは、フロントをすべてボタンで留める仕様になっていますが、着た時に感じる重さや履きやすさなどを考えると、別の仕様を選択肢に入れてもいいかもしれませんね。
堀井:
たしかに。ファスナーでも良いかもしれませんね。スカートは一旦お任せして、サンプルで履き心地などをチェックさせて頂こうかな。

ボトムスの履き心地は、生地によっても大きく変わってきますね。パンツなんか特に。

荒井:
パンツは、あらかじめ生地に洗いをかける処理を施すのもいいかなと思っています。シルエットは堀井さんがお好きだという太めストレートを想定しているのですが、洗いをかければカジュアル感が強くなりますし、かけなければ“綺麗め”の雰囲気になります。
堀井:
生地は、どんな候補がありますか?
生地サンプル
荒井:
このあたりが良いんじゃないかと思っています。

程よいミリタリー感が出そうで良いですね。どの色も、とてもシックで素敵。

堀井:
個人的には、やっぱりグレーに目が行きますね(笑)。ウエスト周りのデザインはどんなイメージですか?
荒井:
少しでも幅広い体型の方に着ていただけるよう、ウエスト周りは余裕を持たせたつくりにして、適宜アジャスターで調整できるようにしようかと思っています。
堀井:
アジャスターがついていると、トップスをINして着た時にもポイントになって良さそうですね。
荒井:
そうですね。先ほどお話した「生地に洗いをかける・かけない」の件は、一旦サンプルで両方つくってみますので、実際に着用してみてご意見を伺えたらと思っています。
堀井和子さん

Tシャツは、堀井さん手書きの文字をプリントする予定だそうですね。

荒井:
はい。「sept septième」というブランド名をベースにしたものを堀井さんに描いていただく予定です。
堀井:
やっぱり色は、シンプルに“白”がいいでしょうか?
荒井:
他のアイテムと組み合わせやすいものと考えると、白が良い気がします。サイズ感も要検討ですね。サイズによって、だいぶ印象が変わってくると思うので……。
堀井:
個人的にはメンズっぽい雰囲気が好みなので、少しゆとりのあるサイズも良いかなと思っています。

堀井さんが描く文字も楽しみですね。次回はサンプルをお持ちして、それを実際に堀井さんに着て頂きながら、本番の制作に向けて改善点などを話し合い出来たらと思います。よろしくお願いします!

服のスケッチ

連載第5回へ続く

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2020/03/28

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