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ホンマタカシ 東京と私 TOKYO AND ME (intimate)

Vol.21 MANA・KANA(from「CHAI」/ミュージシャン)
PLACE/下北沢(世田谷区)

写真:ホンマタカシ 文:加藤孝司 編集:落合真林子(OIL MAGAZINE / CLASKA)

下北沢の風景
下北沢の風景
下北沢の風景
マナ・カナ
下北沢の風景
下北沢の風景
下北沢の風景
下北沢の風景
下北沢の風景
マナ・カナ

Sounds of Tokyo 21.(Crossing at Shimokitazawa Station)


名古屋市中川の出身です。近所にはお店がほとんどなくて、イオンが突然どーんと現れるような場所だったな。辺りは田んぼだらけ。小さい頃はよくあぜ道で遊んでました。

ふたりとも古着が好きで、中学の頃は名古屋駅から近い大須商店街によく通ってました。
家からは車で2~30分、電車だと40分くらいで、東京に出てくるまでは大須商店街くらいにしか行っていなかった。

東京に来て驚いたのは、電車の駅と駅の間の近さ。表参道駅から原宿駅、なんだったら渋谷駅までだって簡単に歩けるじゃないですか。名古屋に住んでいた時は、歩ける距離にはバス停しかなくて、近くの地下鉄の駅までバスで20分くらいかけて行ってました。
ある時、帰りのバスがなくなっちゃったことがあって、地下鉄の駅から家まで歩いて帰ったら一時間半かかった(笑)。

あと、私たちの地元と東京が違うのは、どの駅で降りても駅前にコンビニがあること。人が多いからか駅ごとにちゃんと栄えていて、商店街もスーパーも絶対にある。名古屋も栄えた街だと思われてるかもしれないけど、どの街にも絶対スーパーがあるわけではないもんね。東京は、何をするにしてもすごく便利だと思う。

最初に自分で選んで音楽を聴いたのは幼稚園の頃。モーニング娘。やSMAP、ミニモニとか当時流行っていたのを聴いてました。
聴くのも歌うのも大好きだったけど、高校の時に軽音楽部に入るまでは、バンドがギター、ベース、ドラムからできてることさえも知らなかった。
CHAIのドラムのユナと高校の軽音楽部で出会ってバンドを組んで、「将来もずっとこうやって音楽ができたら楽しいだろうなあ」って自分たちの未来を想像することができたのかも。
大学に入ってからベースのユウキとも出会って本格的にバンドをはじめて、今も音楽をしているのは、高校時代に「ずっと音楽を」と思えたことが大きかった。

上京したのは2016年の夏。ユウキはずっと「名古屋で就職をする」って言ってたけど、その時の私たちにはそこに居る理由も、なんにもなかったの。
だから、「なんで名古屋にいるんだろう、私たちは音楽で食べていくんだ!」ってユウキを説得して4人で東京に出てきた。

その時は、東京っていってもライブで来ていた新宿しか知らなかった。どこに行ってもお店や建物がずっと途切れることなく続いてて、とにかく派手でカオスなイメージだったな。

今回私たちにとっての「東京」として挙げた下北沢は、来るたびに最初にここでライブをした時のワクワク感がこみ上げてくる思い出の街。

東京で最初にライブをしたのは新宿だったけど、知り合いから「インディーズのバンドなら、下北沢でしょ」って言われて。バンドマンにとって“夢の地”は下北沢なんだぁって知ってからは、CHAIとして最初の目標が「下北沢でライブをする」になった。

それで最初に叶ったのは2016年にあった「下北沢SOUND CRUISING」っていうライブサーキット。でも、客席はガラガラだった。
下北沢ではライブの度にみんなで「餃子の王将」に行って、“よく焼き”の餃子定食2人前をペロッと食べていたこともいい思い出。下北沢の王将は夜中まで開いているから、バンドマンたちのたまり場みたいになってたね。

これまでたくさん下北沢でライブをしてきました。
よくお世話になったライブハウス「BASEMENT BAR」でのワンマンもSOLDOUTにすることができて、そこでひとつの目標を達成することができた。そういう意味でも、下北沢は音楽をやっていく一つのきっかけの街です。
「再開発で下北沢の風景が変わった」っていう話をよく聞くけど、私たちが来はじめた時から駅前は常に工事中、みたいな感じでした。もともと運河や海だった場所が埋め立てられたら風景が変わると思うけど、下北沢は建物があった場所が更地になって広々とした空き地ができて綺麗になったな、っていう印象だったかな。

音楽をつくる上で、東京で活動していることや日本人であることを意識するか、ですか? 音楽に関しては「洋楽」と「邦楽」を分けて考えたことはなくて。歌詞については、日本人として伝えたいことや東京で生きて感じたことを歌うことは世界に出ても私たちの強みや個性になると思うから、楽しみながら表現してます。
昔から「グラミー賞を獲る!」って言い続けているのは、音楽でTOPであることの証明が欲しいから。これまでグラミーを獲っているアーティストで嫌いな人が一人もいなかったのもあるかも。

一つ思うのは、好きなこと、やりたいことがある人は絶対に東京に出てきたほうがいいよ、ということ。家賃も高いし大変だけど、好きなことをして生きていきたいから、めちゃくちゃ気合が入る(笑)。夢に向かって頑張るエネルギーをもらえる気がする。
だからこそ今、日本の中心である東京で暮らしていることの意味は感じるよね。

でもいずれは、いろいろな場所に家が欲しくて、海外だったら、LA、オーストラリア、日本だったら福岡と北海道にも家が欲しいなと、夢は大きく持ってます(笑)。


MANA・KANA(CHAI)

名古屋出身。「NEOかわいい」「コンプレックスはアートなり」というコンセプトのもとに世界的に活躍する4人組、ニュー・エキサイト・オンナバンド「CHAI」のツインボーカル、作詞作曲を担当するミラクルツインズ。
Instagram:@chaimanakana3333

下北沢の風景

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2021/10/31

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