文・写真:堀井和子
正式なアイテム名は Sugata コンビニエンスウォレット(フラット)。
コインは上部、浅めに一列に収納できて、蓋を内側に差し込むと安心だそう。
その下の部分にカードを8枚くらい収められ、紙幣を入れて2つ折りにすると、少しリアルに透けて見えます。
96mm×90mm のコンパクトなサイズながら、コインやカードを出し入れし易い構造が、実にスマート。
角の R やスリットなど、細かい部分にもよく配慮されたデザインです。
でも、私がこのコンビニウォレットを買いたくなってしまったのは、実用性が理由ではなくて、一瞬目に入った時に、透けるブラウン、イエロー、ブラックが新鮮な美しさに感じられたからです。
コインやカードを見分けられる絶妙な色の濃度というか透け感が何とも言えず、実際にコインを入れてみたくなりました。
かなり迷って選んだのが、こちらのブラック。黒というよりブルーグレーの色合いがエレガントで、雰囲気があります。
撮影のため、コインとカードを出し入れしたのですが、透けて見える様子が何だか楽しい。
ただ、ブラウンと黄色もたいそう魅力的だったので、その2色のウォレットにもコインや紙幣を入れて、持ち歩きたくなって、困っています。
アメリカに住んでいた頃、マンハッタンの TENDER BUTTONS で買った小さいボタン。
お店には様々なタイプのボタンが所狭しと並んでいましたが、私は、算数の計算式や先生などのモチーフの、スクールシリーズのボタンばかり選んでいました。
おっとりした手描きの数字、アルファベットを刻んで、白や黒の色付けをしてあるのですが、白い色が抜けてしまって、デザインが見づらくなったボタンもいくつか。
でも、TENDER BUTTONS のスクールシリーズのボタンは、目の前に並べると、気持ちがフワッと軽くなる特別なオブジェだと思っています。
フランスのブルゴーニュ地方の maison d’hôtes に泊まった時、夕食のアペリティフに出された、ビーツとリンゴのマリネ。
厚みのあるグラスに盛り付けられ、銀色の柄の長いスプーンを添えてありました。
この、ちょっと厚めのグラスを透して見るビーツの赤紫が、どきっとするくらい粋に思えました。
夕暮れの光のブルーグレーがかったニュアンスもあったかもしれませんが。
Profile
堀井和子 Kazuko Horii
東京生まれ。料理スタイリスト・粉料理研究家として、レシピ本や自宅のインテリアや雑貨などをテーマにした書籍や旅のエッセイなどを多数出版。2010年から「1丁目ほりい事務所」名義でものづくりに取り組み、CLASKA Gallery & Shop "DO" と共同で企画展の開催やオリジナル商品のデザイン制作も行う。
CLASKA ONLINE SHOP でのこれまでの連載 > 堀井和子さんの「いいもの、みつけました!」