写真・文:藁谷真生(HAU デザイナー) イラスト・挿絵:natsume
Profile
藁谷真生 Mao Waragai
デザイナー。1981年、東京生まれ。エスモード・ジャポンを卒業後、アパレルメーカーにて約8年にわたり数ブランドのデザインを担当。2011年、自身のブランド「BLANKET(ブランケット)」を設立。2019年より、CLASKA発のアパレルブランド「HAU(ハウ)」のデザイナーを務める。コンセプトは「大人のための日常着」。「HAU」は、ポリネシア諸語のひとつであるマオリ語で、「風、呼吸、生命力」などを意味する言葉。
Instagram @hau_clothes
「真生さん梅しごとしますか?」という知人からのメールの数日後に届いた小さな小包。開ける前の箱の状態から梅の甘い香りがふんわりと漂い、梅ってこんなに香りが強いんだったけ?と久々の感覚。それもそのはず、以前仕込んだ梅酒の瓶のふたを見てみると、「2017/06」の文字。あの時を最後に、かれこれ6年間も梅しごとから遠ざかっていたようです。
梅しごとといえば思い出すのが映画「海街ダイアリー」のワンシーン。姉妹揃って縁側で面白可笑しく梅に楊枝を刺すシーンでは、家族と楽しみながら梅酒を仕込む楽しさを教えてくれました。
さて、私が今年仕込むのは梅ジュースと初めて挑戦する梅醤油。色々調べてみると、醤油と梅のまろやかな酸味が豚しゃぶサラダや冷奴に合うそうでわたしにとっては初めて口にする調味料。真夏には自分たちで仕込んだものを味わえると思うと、夏の食卓が今からとても楽しみです。
海中の揺らぎを表現したワンピース
今期のテーマ "sea forest" (海の中の森)を表現した1枚。海中の植物・海藻の揺らぎを表現したこの生地は、表地のところどころに配色の糸を織り入れて出来たオリジナルのドビー生地。配色部分の裏糸にはスパン糸が通ることでその部分のみギャザーが寄り、緩やかな海中の揺らぎを表現しました。
この生地を実際に織っていただいたのは、群馬県の桐生市にある織機屋さん。古くから繊維の街として知られる桐生では、今も象徴的な三角屋根の工場や木製の織機が残っていたりと、今でも地域全体でもの作りの意識が高い風情のある街でもあります。
この生地を活かしてかたちにしたのは、着脱も楽で夏場に涼しく着用できるボリューム感のあるワンピース。ベースはさらっとした薄地のコットンなのでお洗濯の乾きも早く、ところどころに入ったギャザーのお陰でシワが気にならないところもさり気ないポイントです。パッと決まってパッと乾く。これからの時期に欠かせないキーワードが詰まった一着です◎
<<今回紹介したアイテム>>
◎one piece "sea forest"
◎ileggings "piel" / ライトグレー
*商品名を掲載しているアイテム以外は、すべて私物です。